兜町大学教授の教え 無料メルマガ No.244 (2023年3月15日)



「SVBショックの見極めが肝心 〜今は金融恐慌の入り口〜」


1.「SVBショック」

 アメリカでシリコンバレー銀行とシグネチャー
銀行が経営破綻しました。これを「SVBショック」
と名付けます。
(「SVB」は「Silicon Valley Bank」の略です。)

 3月11日と12日に、渋谷で「必勝ゼミ」を開催
しました。そこで、市況展望の話をしました。
このメルマガでは、その時に話した話も書きますが、
12日の「必勝ゼミ」が終わった後に、受講生様から
「SVBショック」の第一報を聞きましたので、ここ
では、「SVBショック」のことも踏まえて、現時点
での考えを書いていきます。

 「SVBショック」によって、日経平均株価は大幅
に下がりました。
 「SVBショック」が広まる前の3月10日にも
日経平均株価は下がっており、(以下の2.でも
述べますが、)日経平均株価はすでにピークアウト
していました。

 そこに「SVBショック」の悪材料が飛び込んで
きたため、週明けの13日(月)は前日比311円安の
「27,832円」で引け、14日(火)も前日比610円安
の「27,222円」で引けました。
 2日間で、終値ベースで921円の下落を演じ、
先週の木曜日からのたった3営業日で、9日の
高値「28,734円」から14日安値の「27,104円」
まで「1,630円」、率にして「5.7%」の下落を
しました。

 日経平均株価に比べますと、ご当地アメリカの
NYダウは比較的下げ幅が少なく、13日に終値で
90ドルほど下がっただけで、14日には大幅に反発
しています。

 これは日米の市場の違いが原因です。
 すなわち、日経平均株価は「SVBショック」前に
高値圏にありましたが、NYダウは「SVBショック」
前に、すでに4営業日連続の下落となっており、
昨年10月下旬以来の安値圏にあったからです。
 NY市場では、この「SVBショック」の悪材料は
むしろ「悪材料出尽くし」と捉えられて、14日に
発表された消費者物価指数と関連して、株価が
反発しているのが現状です。
 消費者物価指数が市場の予想通りだったことと、
「SVBショック」のせいで、今月のFOMCでの
利上げが「0.50%」ではなく「0.25%」になるとの
観測が広がり、当面の安心感がNYダウの上昇に
つながりました。

 では、いつものように市況を展望します。今回も
後半にエッセイを掲載いたします。


2.市況展望 (執筆日時:3月14日 25時)


[1] 過去1ヵ月の日経平均株価を振り返ります

 日経平均株価は2月22日に付いた「27,046円」
が直近の安値となって、そこからは上昇基調と
なって、3月9日に、「28,734円」の高値を
付けました。
 そこでピークアウトをして10日金曜日には
下落し始め、「SVBショック」によって、日経
平均株価は大幅に下がりました。

 日経平均株価が28,000円を超えていたのは
5営業日だけでしたので、今のところはやはり
日経平均株価の28,000円超えは、やや過熱気味
だということになります。


[2] そもそも、日経平均株価は高値を付けていた

 現在は「SVBショック」が最大の懸念材料に
なっており、それが相場を大きく押し下げて
いますが、この「SVBショック」がなくても、
日経平均株価は下落する運命にあったと考えて
います。

 前回のメルマガで述べたように、日経平均
株価の高値圏は「27,700円前後」であると考え
ていましたので、3月9日の高値(28,734円)
は、上にオーバーシュートしていたといえます。
 3月9日の日経平均のPERは「13.60倍」で、
これは2022年2月10日以来、1年1ヵ月ぶり
の高水準。また、3月9日の日経平均のPBRは
「1.22倍」で、これは2022年6月9日以来、
9ヵ月ぶりの高水準です。

 そこにアメリカ発の金融危機の悪材料が噴出
しましたので、明確な下落基調に転じたという
わけです。


[3] 今後の日経平均株価の動向を予想します

 今はまずはなによりも「SVBショック」の
行方を見守る必要がありますが、NYダウが
思いのほか落ち着いていることを勘案しますと、
15日からはリバウンド相場が始まるのでは
ないかと考えられます。
 日本時間15日午前1時のNYダウは、前日比
363ドル高の「32,182ドル」を付けており、
市場は安心感を取り戻しているかに見えます。

 ただし、2007年のサブプライムローン問題が
そうであったように、この「SVBショック」に
端を発する金融不安は、今後も蒸し返される
可能性がありそうです。

 この「SVBショック」は、

・景気後退を懸念したベンチャービジネスの
 預金者が、預金を引き出し始めた

ことと、それによって銀行が資金運用の矛先
をベンチャー企業への貸し出しから、債券
の運用へとシフトしており、そこに、

・FRBの利上げによって、債券の運用に
 失敗したこと

が重なり、資金ショートした、という構図
です。
 このようなことは、金利の上昇局面が
続く限り、他の銀行でも発生する可能性が
あります。

 一方で、3月29日には、3月決算企業の
配当の権利付き最終日がありますので、
株価には上昇圧力がかかります。
 また、資産インフレや円安による株価の
下支えは、今も健在です。

 以上を総合的に勘案しますと、

<1> 当面はリバウンド相場が始まり、それが
 一進一退を繰り返しながら、29日の配当
 の権利付き最終日まで続き、
<2> その後は金融不安の再燃で、日経平均
 株価は下落に転じる、

というようになるのではないかと予想して
います。

 4月以降の日経平均株価の安値は
「25,000円前後」を想定しています。
昨年来の下値抵抗線が「25,000円前後」に
あるからです。

 現在は、資産インフレの圧力と円安が
株価を下支えしているので、たとえ金融
不安が再燃しても、「25,000円前後」を
割ることは考えにくいですが、4月に、
金融不安が再燃したタイミングでは、
「25,000円前後」までの比較的大きな下落
がありそうです。

 また、もしかしてウクライナ戦争が急に
終結すれば、日経平均株価は急騰に転じる
でしょう。
 現在の「SVBショック」が長く尾を引いて、
アメリカ経済を下押しするようなことに
なれば、バイデン大統領が、子分のゼレン
スキーに命令して、ウクライナ戦争を
終結させるかもしれません。


3.市況展望 追記
 (執筆日時:3月15日 22時)

 上の2.までは3月14日の深夜25時に
書いたものです。
 以下では、3月15日の東京市場と、その
後のデータを基にして追記します。
 3月15日の東京市場は、前日より200円
ほど高く寄り付いて、すぐに下落しました
が、前日と変わらず〜100円高くらいで
14時頃まで推移し、14時から100円ほど
下がりましたが、前日とほぼ変わらず
で終わりました。
 個別の銘柄も、昨日までに下がっていた
ものは値を戻しており、ここまでを見る
限りでは、市場は落ち着きを取り戻した
ように見えました。

 しかしながら、日本時間の22時の
時点で、日経レバレッジ(1570)がPTS
市場において600円近く下がっています。
シカゴ市場のNYダウ先物も「31,580ドル」
で前日比570ドル安となっています。
 スイスの金融大手クレディ・スイスの
株価が10%以上下がったことが嫌気されて
おり、「SVBショック」と相まって、金融
不安が増大している模様です。

 ですから、当分は不安定な値動きが
続きそうですし、4月の下旬からGW
にかけて、日経平均株価は「25,000円
前後」の安値になりそうな気配です。


<市況展望は以上です。>

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4.エッセイ 「同調圧力に負けるな!」

 3月13日から、マスクの着用が「個人の判断」
に委ねられることになりました。政府の対応は
遅すぎます。「やっとかよ」というかんじです。
 コロナを2類から5類に変更するのも5月
8日からでは遅すぎます。コロナはとっくの昔に
「インフルエンザ(5類)並みの風邪」です。

 2月の上旬に、「3月13日からは、マスクの
着用を個人の判断に委ねられる」ということが
発表になった時から、私は「今(2月上旬)と
3月13日で、何が違うの?」という本質的な
疑問を持ったので、その頃から私は、マスクを
できるだけしませんでした。

 しかしながら、3月13日の東京都内や翌14日
の名古屋市内の様子を見ていると、まだ95%
くらいの人がマスクをしています。
 花粉症の人や、化粧を省略したい人のように、
目的意識をもってマスクをしているのは問題
ないと思いますが、「マスクを外すのが
恥ずかしい」という人は明らかにおかしいです。
自分の顔が恥ずかしいって、どういうこと?
と思います。

 そして、最も問題なのは、「同調圧力に
屈して、マスクをしていること」です。
「みんながマスクをしているから、マスク
をしていないと、なんとなく気まずい」
というやつです。
 日本人は「同調圧力に弱い」のですが、
これは損をすることばかりだと私は昔から
思っています。
 義務教育という名の「管理教育」に洗脳
されてしまうと、個性のない「指示待ち人間」
になってしまいますし、政府の「大本営発表」
の言いなりになっていると、本質的に正しい
情報を見極められなくなります。
 こういったことは、すべからく「同調圧力に
屈していること」であり、そんなことをして
いると、人生で損ばかりするのです。

 同調圧力に屈することなく、本当に正しい
情報を見極めて、自分の行動を決めていか
なければ、無意味なことに人生を翻弄されて
しまいます。

 「マスクをすること」が本当に必要か
どうかを「自分の頭で考えて」、その答えに
忠実に従って行動していきたいものです。


<今回は以上です。>




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