兜町大学教授の教え 無料メルマガ No.247 (2023年6月15日)


「先高感満載の時の投資戦略」


 いつものように、市況を展望しますが、その前に
リマインダーの意味で、今回も簡潔に「無料講演会
の告知」をさせて下さい。


[0] 無料講演会の告知です

 6月24日(土)に、サンワード貿易蒲lのご依頼で、
講演会に登壇します。場所は東京・新宿で、開場
時刻は16時30分からで、開演時刻は17時です。

 会場の場所がが「品川」から「新宿」に変更に
なっていますのでご注意下さい。

 内容の詳細とお申し込みは、コチラ↓をご覧下さい。
https://www.sunward-t.co.jp/seminar/2023/06/24_2/index_k.html 

 参加費は無料ですが、私はちゃんとギャラを
いただきますので(微笑)、一切、手を抜かずに
全力でお話をする所存です。

 内容は、

1.6月24日(土)における市況展望
2.株式投資で成功するための秘訣
3.デイトレードの必勝法について

を予定しています。60分の短い時間にエッセンスを
詰め込んで、「詰め込み教育」をします(笑)。
 この60分以外に、質疑応答の時間もあります。

 皆様のお申し込みをお待ちしております!


[1]  市況展望 (執筆日時:6月14日 25時)

 ご承知のように、日経平均株価が33年ぶり
の高値を付けながら続伸しています。
 5月16日に付いた「29,912円」が過去1ヶ月
の中では最安値で、それ以降、ほぼ一本調子に
上昇してきています。
 今の上昇は、実は今年の年初1月4日から
5ヶ月半続いています。
 今年の1月4日に付いた安値の「25,661円」
を一度も下回ることなく上昇基調が続いて
います。昨年8月17日の高値(29,222円)を
明確に上に抜けた5月12日からの上昇が
特に急速で、まるで1988年から1989年末に
かけて発生した、かの「真性バブル」の時
のようです。
 この「真性バブル」は、今や35年も前の
ことですので、「戦争を知らない子供たち」
ではありませんが、「真性バブルを知らない
人たち」も多いと思いますが、この1ヶ月間
の株式市場の雰囲気は、まさに「真性バブル」
の時のそれを彷彿とさせます。

 私は35年間、日本の株式市場をウォッチ
し続けてきましたが、今くらいに急速に
日経平均株価が上昇して、昨年来高値を
どんどん更新していくのは、ニュースなど
での報道の通り「33年ぶり」のことだと
思います。

 今は、「真性バブル」の時の雰囲気に
似ていると述べましたが、今が「バブル」
なのか?と問われれば、答えは、
「まだもう少し高くなるまではバブルとは
言えない」
ということになろうかと思います。
 詳しいことは下の[3]以降で述べますが、
結論を先に書きますと、

「日経平均株価は、34,600円前後まで
であれば、バブルとは言えない。ただ、
すでに高値圏であることはたしかである。
 また、34,600円以上に上がることも
あり得るが、34,600円以上の水準は、
現時点の指標から割り出す限りでは
バブルなので、いつかは弾けて、
34,600円を大きく割る水準に下がる
だろう」

といったところです。

 もちろん、これだけ急ピッチで
上がってきたわけですから、明日(15日)
から下落に転じてもおかしくはないので、
警戒感をもって見守る必要はあります。


[2] 各種の指標

 6月14日の終値における各種の指標
を見ておきましょう。

日経平均株価の終値−− 33,502円
日経平均のEPSの値−−   2,190円
日経平均のPERの値−−   15.30倍
日経平均のBPSの値−−  24,454円
日経平均のPBRの値−−    1.37倍
週足のRSIの値−−−−   100.00→
週足のストキャの値−−   93.93↑
日足のRSIの値−−−−    78.81↑
日足のストキャの値−−   89.57↑

 これらの指標のうちの主なものに
ついて、簡潔に吟味していきます。


[3] PERの値について

 PERの値が「15.0倍」を超えました。
 2020年3月のコロナショック以降で、
PERの値が正常化したのが2021円5月
10日です。それ以降の2年1ヶ月は、
PERの値は「11.95倍〜14.52倍」の
範囲でずっと推移してきました。
 コロナショック以前まで遡っても、
日経平均のPERの値が「15.0倍」を
超えたのは2018年2月2日以来の
ことです。
 ですから、現在の日経平均のPERの
値は非常に高い水準にあるわけですが、
ここまで高くなったということは、
「潮の目が変わった」ということでも
あると考えられます。

 アベノミクスの初期(2013年5月)
の頃からコロナッショックまでの
7年間は、日経平均のPERの値は
「13倍台〜16倍台」で推移して
いました。

 ここで、日経平均のPERの値の
過去の推移を時代ごとにまとめて
みます。
(手もとに資料がある2008年1月
4日以降の15年半をまとめます。)


2008年1月〜2008年9月−−「13倍台〜17倍台」<16倍超>
2008年10月〜2008年12月−−「10倍台〜15倍台」<15倍台>
2009年1月〜2010年5月−−「無機能化時代」
2010年6月〜2011年7月−−「13倍台〜17倍台」<16倍超>
2011年8月〜2012年1月−−「12倍台〜15倍台」<15倍台>
2012年2月〜2012年4月−−「16倍台〜23倍台」<16倍超>
2012年5月〜2012年11月−−「10倍台〜15倍台」<15倍台>
2012年12月〜2013年5月−−「15倍台〜23倍台」<16倍超>
2013年6月〜2015年2月−−「13倍台〜16倍台」<16倍超>
2015年3月〜2015年6月−−「16倍台〜18倍台」<16倍超>
2015年7月〜2016年5月−−「13倍台〜16倍台」<16倍超>
2016年6月〜2016年10月−−「12倍台〜14倍台」<低い>
2016年11月〜2017年7月−−「14倍台〜16倍台」<16倍超>
2017年8月〜2018年1月−−「13倍台〜15倍台」<15倍台>
2018年2月〜2018年11月−−「12倍台〜14倍台」<低い>
2018年12月〜2019年10月−−「10倍台〜12倍台」<低い>
2019年11月〜2020年2月−−「13倍台〜14倍台」<低い>
2020年3月〜2020年4月−−「10倍台〜13倍台」<低い>
2020年5月〜2021年5月−−「無機能化時代」
2021年6月〜2023年5月−−「12倍台〜14倍台」<低い>

2023年6月以降−−−−−−「14倍台〜16倍台(?)」


 このように見てきますと、高値圏の
PERの値が<低い>時期と<16倍超え>の時期
があることがわかります。
 そして、2018年2月からはずっと高値
圏のPERの値が<低い>時期が続いてきました
が、今月から<16倍超え>の時期に移行した
可能性があります。

 また、もし高値圏のPERの値が<16倍超え>
の時期にまだ入っていないとしましても、
高値圏のPERの値が「15倍台後半」である
ことも多かったのです。

 そもそも、日経平均のPERの値という
のは15倍を挟んでその前後、すなわち
「14倍〜16倍」が妥当なのです。
(このことは、「リスクプレミアムを
含めた期待利回り」と絡めて、以前の
メルマガで解説しました。)

 そこで、もし日経平均のPERの値が、
たとえば「15.80倍」まで到達すると
しますと、

 日経平均のEPSの値 × PERの値
= 2,190円 × 15.80倍 = 34,602円

ということで、「34,600円前後までは
バブルではなく、高値圏である」
ということになるのです。
 これが、「34,600円前後までは
バブルではない」ということの理論的な
根拠です。

 また、敢えて、もっと強気な見方を
してみた場合には、日経平均のPERの値が、
たとえば「16.90倍」まで到達すると
しますと、

 日経平均のEPSの値 × PERの値
= 2,190円 × 16.90倍 = 37,011円

ということで、「37,000円前後まで
でも高値圏としては、あり得なくはない」
ということになります。


[4] その他の指標について

(1) 日経平均のPBRの値

 日経平均のPBRの値も非常に高く、
「1.37倍」に達しています、これもやはり
PERの値と同じく、2018年の2月以来の
高水準です。
 それよりも過去に遡ると、2015年の夏
にはPBRの値が「1.50倍」を超えていた
ことが一時期だけありましたが、全体を
通して調べてみますと、PBRの値が「1.37
倍」に達しているのは、ほんの一時期
だけです。

 6月13日放映のWBSで、「現在は
低PBR銘柄に注目が集まっています」
ということが話題にされ、「低PBR企業に
対する東証の是正要請などもあったので、
低PBRの銘柄を狙うのがよい」というような
報道がありましたが、東証全体はすでに
PBRの水準は、かなり高いのです。

「そんな中でも、まだPBRの値が低い
ものは買いだ」というような報道内容
でしたが、「なにを今さら」、しかも、
「なぜ今!?」と叫びたくなりました。
 PBRの値が低い企業には、それなりの
問題点があるからそうなっているので
あって、PBRの値が低いからといって、
ただそれだけの理由で飛びついては
いけないのです。

 そして、日経225銘柄に関して言えば、
今はもう、PBRの値は低くないのです。


(2) オシレータ系の2つの指標

 RSIとストキャスティクスの値は、
4つとも、非常に高い水準に達して
います。
 特に、週足のRSIの値は「100.00」
が2週連続しており、こんなことは、
ここ数年来、私がオシレータ系の
2つの指標を頻繁にチェックする
ようになってからは、初めて見ました。

 過熱感はバリバリだ、ということです。


[5] 先高感満載の時の投資戦略

 前回のメルマガでも話題にした「衆議院
解散・総選挙」ですが、私は「6月解散・
7月総選挙」になるであろうと予想しています。
 その理由は以前に述べました。

 私の予想通り、「解散・総選挙」がある
とすれば、このまま7月の選挙の前々日まで
大きな押し目はない可能性があります。

 逆に、もしも「解散・総選挙」がなければ、
失望売りが出て、調整局面に移行するでしょう。

 私は、「6月解散・7月総選挙」になると
予想していますし、株式市場も、その期待で
高値を追っているのだと考えられます。
 このように、先高感満載の時の投資戦略
は、どういったものかについて述べて、
今回のメルマガを締めくくります。

 現在のような「高値追いの相場状況」の
時には、押し目待ちに徹するのが適切で
あると考えています。
 もしかして「6月解散・7月総選挙」が
ない場合には、格好の押し目を形成する
でしょうし、それ以外にも突発的な悪材料
が噴出すれば、一定の押し目を形成する
タイミングがありそうです。

 もし調整局面があるとすれば、安値は
「30,600円」前後ではないかと予想して
います。
 これも日経平均のPERの値に基づいて
導出しました。比較的小幅な調整である
と仮定すると、日経平均のPERの値は
「14.0倍」くらいで下げ止まるのでは
ないかと考えました。

 2,190円 × 14.0倍 = 30,660円

 また、仮に6月14日の高値である
「33,665円」から10%の下落をすると
想定すると、

 33,665円 × 0.9 = 30,298円

となりますので、調整が入った場合も、
「30,300円〜30,600円」の辺りで下げ
止まるのではないかと考えています。

 前回も述べましたが、インフレ圧力は、
まだ序の口ですので、株式に対しては強い
上昇圧力がかかっています。
 ですから、近日中に調整局面があれば、
そこは勇猛果敢に買いに向かうべきです。
 ましてや、下落時における投げ売りは
禁物です。


<市況展望は以上です。>


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