「『辰己天井』は本当か!?」
[1] 年末年始のご挨拶
旧年中は、ご愛読いただきまして、本当に
ありがとうございました。
今年も、どうぞ宜しくお願いいたします。
これからも、メルマガの配信を地道に続けて
参りますので、倍旧のご愛顧を賜りますよう、
今後とも宜しくお願いいたします。
今回は市況展望の前に、早稲田大学での
講義の告知をさせていただきたく存じます。
[2] 早稲田大学 講演会の告知です
2024年1月27日(土)に、早稲田大学の
高田馬場キャンパスにございますエクス
テンションセンターで講義に登壇いたし
ます。
開催時刻は、13時10分から16時25分です。
途中に15分の休憩を挟んで、3時間の講義
を行います。
早稲田大学では、私の講義を初めて受講
なさる方も参加なさいますので、基礎的な
内容についてもお話しします。
この機に、基礎的なことを学び直したい
という方にはオススメです。
そして、最新の市況展望についても解説
しますし、それと共に、市況を観ていく上で、
どのような点に注目すればいいのかという、
思考方法などについてもお話しします。
次に、還暦前後までに「お金の自由」を
手に入れるための考え方について、私の
現時点までの経験を交えてお話しすることで、
皆様のご参考になればと思っております。
もちろん、老後資金の形成とその運用
という観点から、株式投資の具体的な手法
についてもお話いたします。
お申し込み、その他の詳しいことは、
こちら↓のサイトをご参照下さい。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/59683/
なお、お問い合わせは、早稲田大学の
エクステンションセンター様に直接お願い
いたします。
[3] 「辰己天井」は本当か!?
相場の格言に「辰己天井」というのがあり
ます。この「辰己天井」というのは、
「辰年や巳年は株価が天井をつけることが
多い」
という格言です。
辰年と巳年の前後の卯(うさぎ)年と午(うま)
年についても相場の格言があります。
「卯 跳ねる、辰己天井、午 尻下がり」
です。
2023年は卯年であり、日経平均株価は
25,000円台から33,000円台まで、たしかに
跳ねました。
次は、「辰己天井」です。
この相場格言は、はたして本当なのか!?
今年は辰年ですので、新年にちなみ
まして、この「辰己天井」について少し
調べてみました。
1978年(午年)以前は時代が古すぎます
ので割愛しましたが、1978年以前については
戦後開所以来、ずっと右肩上がりでした。
なので、相場格言どおりではありません。
ただし、下でも述べるように、ずっと右肩
上がりの場合は、「午 尻下がり」が相場
格言どおりではないのですが、株価は右肩
上がりなので、このハズレ方であれば、
「辰年は株価が上がる年」という意味では
ハズレにはならないわけです。
1987年以降の「辰年と己年」とその前後の
年は、次のとおりです。(株価は終値ベース)
1987年(卯年)−−年初 18,820円 年末 21,564円 (跳ねた)
1988年(辰年)−−年初 21,217円 年末 30,159円
1989年(己年)−−年初 30,243円 年末 38,915円 (天井)
1990年(午年)−−年初 38,712円 年末 23,848円 (尻下がり)
言わずとしれた「真性バブル」の時期です。
この時期は、見事に相場格言どおりになっています。
1999年(卯年)−−年初 13,415円 年末 18,934円 (跳ねた)
2000年(辰年)−−年初 19,002円 年末 13,785円 (4月に天井)
2001年(己年)−−年初 13,691円 年末 10,542円
2002年(午年)−−年初 10,871円 年末 8,578円 (尻下がり)
概ね、格言どおりでした。2000年4月が
天井だったのは、「ITバブル」とその
崩壊です。
2011年(卯年)−−年初 10,352円 年末 8,581円 (跳ねていない)
2012年(辰年)−−年初 8,802円 年末 9,484円
2013年(己年)−−年初 11,138円 年末 15,659円 (天井ではない)
2014年(午年)−−年初 14,914円 年末 17,475円 (尻下がりではない)
この時は、格言はすべてハズレています。
「卯 跳ねて」いないですし、「辰己天井」
でもないですし、「午 尻下がり」でもない
です。
ただし、2011年の年末以降、ずっと右肩
上がりなので、このハズレ方であれば、
「辰年は株価が上がる年」という意味では
ハズレにはならないわけです。
民主党政権からアベノミクスへと移行する
時期でしたので、それによって相場の方向性が
決まったということですね。
<総評>
以上の内容をまとめると、次のように
なります。
・1978年以前は、相場格言どおりでは
ありませんが、日経平均株価はずっと
右肩上がりだったので、「辰年は株価
が上がる」という意味では「辰己天井」
的な方向性になっていたということです。
ただ、辰年・己年が「天井」にはならず、
もっと上がっていったということです。
・1987年〜1990年と1999年〜2002年は相場
格言どおりでした。
・2011年〜2014年は相場格言どおりではあり
ませんが、この時期も、株価はずっと右肩
上がりだったので、「辰年は株価が上がる」
という意味では、「辰己天井」的な方向性に
なっていたということです。
この時期も、辰年・己年が「天井」にはならず、
もっと上がっていったということです。
以上のようにまとめてみると、要するに、
全ての事例で、「辰年は株価が上がった」
のです。
ただし、辰年・巳年が「天井」ではなくて、
もっと上がっていく事例の方が多いという
ことはいえますが、
「辰年は株価が上がるのか?
という問いに対しては、過去の事例からは
「YES」という答えになります。
ただし、2000年だけは「4月が天井」
でした。
さて、2023年(卯年)は、たしかに
「跳ね」ましたし、今のところの感触では、
2024年(辰年)か2025年(己年)には「天井」
を付けて、2026年(午年)は「尻下がり」に
なりそうなかんじがしますから、今回は、
相場格言どおりになるのかもしれません。
また、強いインフレがずっと続くようですと、
日経平均株価はずっと右肩上がりになると
いうようにも予想できます。
ただし、この場合でも、資産インフレだけ
ではなく、物価のインフレも続くでしょう
から、インフレ率で割り引けば、株式投資で
儲かっても、実質的な購買力はあまり向上
しないかもしれません。
すなわち、3年後に、日経平均株価が
たとえば「33,000円」から「50,000円」まで
どんどん上がっていって、330万円の財産が
株式投資で500万円になったとしても、たとえば
車の値段が330万円から500万円に上がっていたら、
儲かったことにはなりませんよね。実質的な
購買力が維持されただけです。
これから起こることは、そういうことなの
ではないかと考えています。
ということは、逆に言えば、これからは
「株式投資をしておかないと実質的な購買
力がさがってしまう」
ということなのです。
それがインフレ社会を生き抜くための
常識です。
[4] 市況展望 (執筆日時:1月1日 13時)
(1) 過去1ヵ月の推移
12月は高値もみ合いの1ヵ月でした。
「33,537円」で始まって、8日には
「32,205円」まで下がりましたが、そこから
切り返して、20日には「33,824円」の高値を
付けました。これは11月20日に付いた年初来
高値の「33,853円」に匹敵する高値です。
前回の有料メルマガで、
「12月に3つある重要イベントでの懸念材料
が想定外の展開にならなければ、年末に向けて
『掉尾の一振』が起こる可能性がある」
と述べました。
12月の3つの重要イベントは想定内の展開
でしたので、年末に向けて、(『掉尾の一振』
というほどの高値ではなかったですが、)
高値圏で大納会を迎えました。
(2) 今年1年間でみると
ご承知のように、今年1年間でみると、
日経平均株価は大きく「跳ね」ました。
「26,093円」で始まり、その3日後に
「25,661円」を付けたのが大底となって、
3月9日までは右肩上がりで「28,734円」
まで上がりました。
そこから「シリコンバレー銀行の破綻」
があったので、同月16日に「26,632円」
まで下がりましたが、パウエルFRB議長
の名采配によって、非常に短期間で危機を
脱しました。
今年はアメリカでインフレを沈静化する
ための利上げが果断に行われましたが、
市場との対話もとても良好でしたので、
アメリカ経済はソフトランディングに
向かっています。
パウエルFRB議長の天才的で希有な
能力が光り輝く1年でした。
3月16日の「26,632円」から6月16日
の「33,772円」までは、ほぼ一辺倒に
上がりましたが、そこからは緩やかな
右肩下がりのボックス圏相場となり、
10月4日に「30,487円」の安値を付け
ました。
そして、10月24日に「30,551円」の
二番底を付けました。この時は、明かな
「コツン感」が出たので、11月1日配信
の有料メルマガで、「底打ち宣言」を
しました。
そこから11月20日までは右肩上がり
となり、「33,853円」の年初来高値を
付けました。
その後、40日間にわたって高値での
もみ合いが続いてきましたが、日足の
チャートを観ますと、12月7日の
「32,814円」の安値を起点とした「三角
保ち合い」の状態が形成されています。
この形の「三角保ち合い」は、近日中に
「上に放れる三角保ち合い」なので、
年明けからの上昇相場を匂わせています。
[5] 2024年の展望
(1) 相場格言から
上の[3]で観てきたように、2024年
(辰年)は「天井」を付けるか「右肩
上がり」になるということがいえます。
具体的に言いますと、次の3つのケース
が想定されます。
<1> 2000年の事例のように、2024年の年央
くらいに天井を付ける。
<2> 1989年(巳年)の事例のように、2025年
(巳年)の年末頃に天井を付ける。
<3> その他の全ての事例がそうであった
ように、資産インフレでどんどん株価
が上がっていく。
このような「相場格言に基づく過去の検証」
からは、
<1> 2024年の年央くらいに天井を付ける。
<2> 2025年(巳年)の年末頃に天井を付ける。
<3> 資産インフレでどんどん株価が上がっていく。
のいずれかになりそうだ、ということです
ので、2024年に警戒する必要があるのは、
年央に天井になるという<1>のケースです。
(2) アメリカの金利と為替相場から
アメリカの金利は3月には下がり始める
というのが、今のところのコンセンサスです。
日銀は利上げはできない(モーションしか
しない)でしょうけれども、アメリカが金利
を下げ始めれば、日米金利差は縮小します
ので、円高方向に振れるのがセオリーです。
そして、アメリカ経済は堅調な歩調で
ソフトランディングに向かっていますので、
急激な利下げはしないでしょう。
そうであれば、為替相場も急激な円高
にはならないでしょう。
現下の日本経済の状況では、円高は株安
を誘発しやすいのですが、マイルドな円高
であれば、日経平均株価に対する円高の
負のインパクトも限定的になると考えられ
ます。
企業業績は過去最高水準ですし、経済の
インフレ基調は鮮明ですので、日経平均
株価には上昇圧力がかかりますが、円高
の進行によって、頭を押さえられるという
下方圧力も同時にかかってくるというのが
年明け以降の相場環境であろうと予想して
います。
まずは、年明け以降の為替市場の動向と、
1月下旬から本格化する第3四半期決算の
良否に注目すべきですが、テクニカル分析
が示唆する方向性としては、日経平均株価
は「上に抜ける」可能性の方が高いといった
状況になっています。
企業の本決算が出揃う5月中旬までに、
何らかのショックが起こったり、過度な
円高が進んだり、企業業績が伸び悩んだり
した場合には、そこが「天井」になる
ということになります。
その逆に、ネガティブなファクターが
発生しない状況で、円高に一定の区切り
がつけば、日経平均株価は右肩上がりに
なっていくことが充分に想定できます。
最後になりましたが、今年もどうぞ
宜しくお願いいたします。
<今回は以上です。>
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