「トランプ注意報」
前回の無料メルマガは、新年特別号と
しまして、毎月1日に「フーミー」に
掲載している有料メルマガを配信いたし
ました。
ですから今回は、今年1月1日からの
2週間を振り返ります。
[1] 市況展望(執筆日時:1月13日 1時)
(1) 過去2週間を振り返りますと
12月17日に配信したこのメルマガで
予想したとおり、日経平均株価には
「掉尾の一振」が起こり、12月27日に
「40,398円」の高値が付きました。
2024年の終値は「39,894円」で、
2025年の始値は「39,945円」でした。
翌7日には「40,288円」が付きました
が、そこからは、やや下落して10日
には「39,166円」まで下がりました。
(10日の終値は「39,190円」。)
ただ、1月10日までは「上に放れる
三角保ち合い」の状況は、ギリギリ
ですが継続しています。週明け以降に
現水準よりも明確に下がってしまえば、
「上に放れる三角保ち合い」は崩れて
しまします。
1月10日の東京市場が引けた後の
シカゴ市場の日経平均先物の終値が
「38,770円」まで下がっていますので、
このままの地合いを引き継いだ場合
には、「上に放れる三角保ち合い」
が崩れる可能性があります。
一方で、下の(2)で見るように、企業
業績は好調を維持していますので、日経
平均株価が上に放れる可能性は、まだ
温存されていますが、[2]で述べる点
が気になるところです。
まずは次の(2)で、各種の指標を確認
しておきます。
(2) 1月10日時点の各種の指標
日経平均株価のファンダメンタルズ
指標とテクニカル指標を簡潔に概観
します。
(「ストキャスティクス」を「ストキャ」
と略して表記します。)
<1月10日のデータ>
日経平均株価 −− 39,190円
日経平均のEPSの値 −− 2,496円
日経平均のPERの値 −− 15.70倍
日経平均のBPSの値 −− 27,406円
日経平均のPBRの値 −− 1.43倍
日経平均のROEの値 −− 9.1%
日足のRSIの値 −−− 48.30
日足のストキャの値 −− 2.17
週足のRSIの値 −−− 52.71
週足のストキャの値 −− 40.87
<コメント>
この1月10日のデータからは次の
ようなことが考えられます。
(1) 日経平均のEPSの値
日経平均のEPSの値は「2,496円」
で、これは史上最高値圏です。ですから、
上の(1)の末尾の方でも述べたように、
企業業績は好調を維持しているといえ
ます。
(2) 日経平均のPERの値
日経平均のPERの値は「15.70倍」
ですから、高くも低くもないといった
水準です。
2024年8月のブラックマンデーから
落ち着きを取り戻した10月1日以降は、
日経平均のPERの値は「15.28倍〜
16.25倍」っで推移していますので、
「15.70倍」というのは、ほぼ中央値
の水準です。
(3) 日経平均のBPS・PBR・
ROEの値
昨今、企業による自社株買いが
増えていますので、BPSの値が
減少傾向にあります。2024年10月
15日には「28,713円」という高値を
付けたBPSの値は、「27,406円」
まで減少しています。
それによって、PBRの値は増加
傾向になっています。
日経平均のPBRの値は「1.43倍」
で、(8月のブラックマンデーから
落ち着きを取り戻した)10月1日以降
の日経平均のPERの値は「1.34倍〜
1.48倍」で推移していますので、
「1.43倍」というのは、やや高めの
水準ですが、これは、このパラグラフ
で述べた「自社株買い」の影響である
と考えられます。
現に、2024年10月15日には「8.8%」
だったROEの値は、「9.1%」まで
増加しています。2024年10月15日の
EPSの値(2,515円:史上最高値)と
比べると、現在のEPSの値は微減
ですが、ROEの値が増加している
のは、「自社株買い」によるBPSの
値の減少に起因しています。
(4) RSIとストキャの値
RSIの値は、日足も週足も「50
近辺」なので、高くも低くもないです
が、日足のストキャの値が「2.17」と
いう低い値なので、短期的には、やや
下がりすぎであるということになります。
(5) 以上を総合して
総合的には、日経平均株価はここから
上に行っても下に行ってもおかしくは
ないといった状況です。
あとは、「上に放れる三角保ち合い」
が崩れるのかどうかが注目点です。
[2] トランプ注意報
トランプ次期大統領については、
選挙前から「もしトラ」とか「ほぼ
トラ」などと言われてきて、
「トランプ氏が大統領になったら、
日米の経済や株価はどうなるのか?」
というのがFAQでした。
<念のための用語説明です。>
「もしトラ」−− 「もしトランプ氏
が大統領になったら」の略です。
「ほぼトラ」−− 「ほぼトランプ氏
で大統領は決まりでしょう」の略
です。
「FAQ」−− 'Frequently Asked
Question' = 「よくある質問」の
略です。
<用語説明は以上です。>
この「トランプ氏が大統領になったら、
日米の経済や株価はどうなるのか?」
というFAQに対する私の答えは、
現時点では次のようなものです。
(1) 総論
第一次トランプ政権の時がそうで
あったように、第二次トランプ政権
でも、世界経済や日米の株価はトラ
ンプ氏の発言に振り回されることに
なるでしょう。
しかしながら、トランプ氏も市場
参加者も、第一次トランプ政権の時
に「学習」しましたので、トランプ氏
の発言は、第一次トランプ政権の時
よりもマイルド(穏健で無難)なものに
なるでしょうし、市場参加者も受け
止め方が上手になるでしょう。
(2) 対中貿易摩擦について
対中貿易摩擦についても、トランプ
氏は、第一次トランプ政権の時よりも
対応が上手になるでしょう。
昨今話題になっている「対中関税」
については、現時点ではあくまでも
トランプ氏が持ちかけた「ディール
(駆け引き)」ですので、少なくとも
アメリカにとって不利になるような
大きな関税率にはしないだろうと
考えられます。なにしろトランプ氏は
「MAGAの人」ですから。
(注)MAGA
MAGAとは、Make America
Great Again (アメリカを再び偉大な
国にする)の略です。
今回は略語が多いですネ。
(3)「関税」と「減税」について
関税と減税については、程度の
問題はさておき、トランプ氏は
何らかのことはやるでしょう。
トランプ氏は、MAGAとともに、
「America First(アメリカ第一主義)」
を標榜していますので、この関税と
減税は必ず実行するだろうという
わけです。
これらの2つは、国民のウケも
最高にいいですし。
また、関税はアメリカ国内の産業
を保護しますし、関税収入が減税の
財源になりますから、これらの2つ
(関税と減税)は国家の財政的にも
整合性があります。
(4) インフレ
ただし、この関税と減税は、イン
フレを誘発します。
関税は輸入品に対して、関税の分
だけ国内の価格を押し上げますので、
「インフレ要因」として作用します。
そして、減税になれば、その分
だけ国民の購買力が上がりますので、
これも明かな「インフレ要因」です。
(5) NYダウ
インフレ経済下では、企業業績
も向上(=インフレ)しますし、
資産価格には上昇圧力となります
ので、株価は上昇するでしょう。
それに連動して、日経平均株価
にも上昇圧力がかかるでしょう。
(6) アメリカの金利
インフレになれば、FRBは金利
を上げることでインフレに対処する
でしょう。ですから、FRBは夏頃
までには利上げに転じる可能性が
高いと考えられます。
しかしながら、このことを織り
込んでも、株価に対しては上昇圧力
(=インフレ圧力)の方が強く作用
するであろうと考えています。
2023年に、アメリカでは急速な
利上げが行われましたが、NYダウ
は史上最高値を更新し続けました。
「金利と株価は逆相関である」
というマクロ経済学の通説は、
インフレ圧力には勝てないのです。
(この「金利と株価の関係」に
ついての議論は、長くなりますので、
機会を改めます。)
このような「金利の反転上昇と
株価上昇」は、1996年〜2000年の
NY市場で、同じことが起こって
います。それと同じことが2025年
に発生すると予測しています。
2000年には「ITバブル」が
発生しており、それがはじける
までは、金利が上昇しても株価
の上昇は続きました。
今も「AIバブル」が真っ盛り
ですので、デジャヴの感が強い
です。
なお、株価を決定する要因は
第一に「企業業績」です。金利
は株価決定の第一要因ではあり
ません。
(7) ドル円レート
アメリカの金利水準が高止まり
する中にあって、日本はなかなか
金利を上げられません。長期金利
で言えば「1.5 %」か、せいぜい
「2.0%」が限度でしょう。
日本で、それ以上に金利水準が
上がったら、まず政府や日銀が
破綻の危機に瀕します。政府債務
が膨大ですし、日銀が保有する
日本国債の残高も膨大だからです。
金利が大幅に上がれば、債券価格
は大きく下落しますので、時価
ベースでは日銀は、かなり大規模な
債務超過に陥ります。
日銀は、「国債は満期まで保有
するので、時価評価は必要ない」
と言い張りますが、そんなご都合
主義をいつまでも国際市場が容認
するとは思えません。
以上のような構図は当分の間、
変わらないので、
・アメリカは金利高止まり
・日本は金利が上げられない
ということから考えて、「円安の
状況は当分変わらない」といった
ことになるのではないかと考えて
います。
(8) ウクライナ戦争
トランプ氏は「ウクライナ戦争
を止める」と言い続けてきました。
これは、相手(ロシア)があること
ですから、即時停戦とはいかない
かもしれませんが、停戦合意の方向
には持っていくでしょう。
このことだけが唯一、ディスインフレ
(インフレを緩和する)要因として
作用します。
ウクライナ戦争が停戦になれば、
サプライチェーンが正常化しますし、
ロシアからの石油や天然ガスが欧州
に入るようになり、物価を抑制する
方向に作用するからです。
そして、このトランプ氏の反戦
的な行動が、軍産複合体から猛烈に
敵視される原因となっています。
ですから、選挙前にも狙撃事件が
ありましたし、今後も「暗殺リスク」
は常にトランプ氏の背後について
回ります。
軍産複合体(=軍需産業)というのは、
アメリカでは自動車産業よりも規模の
大きい産業ですから、利害対立の規模
もバカデカいのです。
(9) 就任式の日にブラックマンデー
FAQにお答えするかたちで、
ここまでに色々なことを述べましたが、
喫緊のリスクは、
「大統領就任式の日にブラックマンデー
が発生するかもしれない」
というものです。
すぐ上の(8)で述べたように、トラ
ンプ氏は軍産複合体を始めとする巨大
資本家から猛烈に敵視されています。
トランプ氏は自らが大富豪なので、
お金になびかないのです。そのため、
トランプ氏は巨大資本家の言うことを
ききません。
そして、巨大資本家に不利なこと
でも、国民のためや、自分のために
なると思ったら、実行します。
それが巨大資本家にとっては非常に
不都合なのです。
だから、2024年の大統領選挙でも、
「ハリス氏とトランプ氏は激戦」
などというフェイクニュースが流布
されたのです。
トランプ氏は株価が下落することも
嫌います。自らが不動産投資で巨万の
富を築いた資本主義の権化ですし、
アメリカでは株価が下がると政権の
支持率がガタ落ちになるからです。
そんなトランプ氏への就任式の「餞
(「はなむけ」という名の嫌がらせ)」
に、巨大資本家がヘッジファンドと
結託して、意図的な大暴落を起こさせる
のではないか、ということが気になる
ところです。
1月20日のNY市場(または東京市場)
で、あの忌まわしき「植田ショック」
並みの大暴落が一時的に発生するかも
しれません。
しかしながら、「植田ショック」も
そうであったように、不自然な暴落は
長続きしません。
2016年11月にトランプが当選した時
も、翌日の東京市場では大暴落が発生
しましたが、その翌日には完全に元に
戻りました。
不自然な暴落や、政治的な要因での
暴落は長続きしないのです。
ですから、1月20日に「トランプ
ショック2.0」がもしも発生しても、
狼狽売りは厳禁です。
株価は日米ともに、インフレによって
すぐに元に戻りますから。
12月中旬配信のこの「無料メルマガ」
でも、「[4] 大事な心構え」のところに、
「テクニカル的には、近日中に史上最高
値が付いても不思議ではないわけですが、
その前には一旦、やや大きめの調整が
入る可能性も濃厚です。」
と書きました。
1月20日に発生するかもしれない
「トランプショック2.0」が、この12月
中旬配信の「[4] 大事な心構え」で
述べた、「やや大きめの調整」という
ことになるのかもしれません。
<今回は以上です。>
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